見たままを素直に言う男

年のせいか主人は以前より短気になり、回りの他人の目を気にしなくなった。それは、加齢のせいだと割り切って付き合うようにしているので構わないのだが、困るのは、あるがままに声を発することである。例えば、ある食堂で食事をとっている時、突然、 「このゴキブリの子は、ゆっくりしか歩かんな」と声を発した。実際、小さなゴキブリの子供が、テーブルの上をおたおたと歩いていた。主人は、加齢のせいかこのごろ声も歯止めなく大きくなってきている。ギョっとして周りを見ると、お客といわず、従業員といわず、こちらを注視している。 (この客は、店に何か因縁でもつけようと企てているのではないか)と、皆不安と期待の入り混じった目でこちらを見ていた。 「何?どこにおるん?見えんけど」と私がうそをつくと、皆一斉に明後日の方向を見た。 「ほら、こ」と主人が口を開くと、 「しっ!悶着起こす気ないなら黙って!」と私が言うと、主人はギョっとした顔をして、初めて状況を飲み込んだようだった。 店の外に出て、 「あるがままを口にするようでは、お子様と変わらんでしょ。店長呼ぶ気ないなら、黙って食べなさいよ。文句言うつもりなら、大声出さずに店員呼びなさい。」と私が言うと、 「だって、ゴキちゃんいたもの」とひょっとこ口をだして主人は文句を言った。 (あんなものに名前つけるな!)と心で言って、 「あなた、この店では、あなたのあだ名『ゴキちゃん』になったわね。」と言うと、 「いやだ!」と3歳児のように手足をばたつかせて叫んだ。「還暦」とはよく言ったもの。そのくらいになると赤ちゃんがえりするのだなと承知した次第です。 了デオシークの口コミ・効果※子供は?デオシーク・クリアネオ・ノアンデ比較